今年になっても相変わらず、かなりのペースで本を買っています(読むのが追いつきません)。
史上最強の人生設計マニュアル(勝間和代)
絶妙な話し方の技術(橋川硬児)
考える技術の教科書(Harvard Business Review)
1063人の収入を60日で41%アップさせた目標達成技術(マイケル・ボルダック)
残り97%の脳の使い方(苫米地英人)
「人たらし」の心理術(内藤誼人)
ブリッジマンの技術(鎌田浩毅)
10人の法則(西田文郎)
悩む力(姜尚中)
君子を目指せ小人になるな(北尾吉孝)
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ウェーバー)
英語リーディングの秘密(薬袋善郎)
東洋経済1/17、「仕事力」勉強法
人間関係(藤原和博)
内緒の本(????)
さらに3冊amazonで注文中ですが、こう見てみると、技術とか心理術・勉強法といったハウツー本がかなりの割合を占めており、あらためて自分の性癖というか、安易な方法論にすがる思考パターンが見えてきて恥ずかしいです。
さてこの中で、特に印象に残った数冊について、シントピック風に感想を述べます。
まずは姜尚中(カン・サン・ジュン)著『悩む力』です。
この方は、早稲田出身で現在は東大の環教授をされている方で、以前何かの政治討論会に出演されているのを拝見したことがありますが(ご専門は、政治学・政治思想史)、そういうものによくありがちな、声高の自己主張の渦巻く中で、冷静で思慮深い発言が非常に印象的でした。
彼はこの本の中で、自我という主題について、「悩む力」にこそ生きる意味への意思が宿っていることを、彼の在日2世という出自から、夏目漱石、マックス・ウェーバーの多数の著作を手がかりとして、哲学しています。
結論として、「私は、自我というものは他者との「相互承認」の産物だと言いたいのです。そして、もっと重要なことは、承認してもらうためには、自分を他者に対して投げ出す必要があることです。」と述べ、「とにかく自我の悩みの底を「まじめ」に掘って、掘って、掘り進んでいけば、その先にある、他者と出会える場所までたどり着けると思うのです。」、「「解は見つからないけれども、自分が行けるところまで行くしかないのだ。」という解が見つかりました。」と述べています。
これと言って青春時代に深く悩んだことのない私にとっては、いまひとつピンとこない深さでしたが、漱石やウェーバーが示す、社会の近代化に伴う個人主義の台頭、「文明が進むほどに、人間が救いがたく孤立していくことを示していたのです。」という点については納得させられました。
確か、高校生の時に文庫本の『こころ』を読んだと思うのですが、何か灰色の印象しか残っていないのは、当時の時代背景がよく理解できていなかったからでしょうか・・・
さてもう一つ私を惹きつけたのは、著者の教養の深さです。
さすが東大の環教授(?)というべきか、文系の方はこれくらい読んでおられるのが当たり前なのでしょうか、本書にも、漱石の多数の著作を始め、ウェーバー、強制収容所体験のあるV.E.フランクル(何かの自己改革本に出ていました)、カール・ポラニー、ルネ・デカルト、カール・ヤスパース、アダム・スミス、ゲーテ、ダンテ、トルストイ、カント、エドモント・フッサール、レヴィ・ストロース、ボオドレール、安部真大、福沢諭吉らの言葉をちりばめながら論を進めています。
著者も述べていますが、これぞ物知りや情報通ではなくて知性、knowではなくてthink、informationではなくてintelligenceというべきでしょう。
鷲田清一さんの『「聴く」ことの力』の中にあった、「〈知識〉(グノーシス、knowledge)ではなく〈知恵〉(ソフィア、wisdom)の粋とされる哲学的な知」や、後述の北尾吉孝さんの本にもある、論語の、「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し。思うて学ばざれば則ち殆し。」を思い出しました。
ただ敢えて一言いわせていただけるなら、高度な情報化社会の中で、自我を自ら問うことなく、「脱色されて乾いた青春」を送る若者達に対し、政治学者として、国はこうすべきだという提言を聞きたい気がしました。
さて次に『ブリッジマンの技術』ですが、著者の鎌田浩毅さんの言うところの「頭の中の思考パターン」=「フレームワーク」(勝間さんの好きな言葉ですね)は、ある意味「自我」と言ってもいいのではないでしょうか。
暗さ明るさの差はありますが、哲学風にいえば、自己と他者とのフレームワークを橋渡しするという点で、『悩む力』の言わんとするところと一致しているように思います。
この方は火山学者で、やはり東大の教授、文系の素養も半端じゃなく、intelligenceを感じさせます。
有名な芭蕉の句「静かさや 岩にしみいる 蝉の声」の解釈が、私とは違っていましたが・・・
さて最後に、私の好きな北尾吉孝さんの『君子を目指せ小人になるな』ですが、この本には、本当の自分をつかむという意味で「自得」という言葉がでていて、かの安岡正篤さんも「人間は自得から出発しなければいけない。」と言われ、一方ソクラテスは「汝自身を知れ」、ゲーテは「人生は自分探しの旅だ」と言っているそうです。
さらにこの本によれば、『老子』には「人を知る者は智なり、自らを知るものは明なり」とあるそうですが、さてさて、今年は一つ、自得の旅に出てみますか・・・
実はもう一冊、自我について考えさせられる500頁の本を、昨日一気読みしてしまったのですが、微妙な本なので、ここでは内緒にしておきます。
P.S. 漱石の「こころ」を、哲学的に引用していた本を以前に読んだのですが、どの本だったか思い出せません。
気になって、気になって・・・
どなたかご存知の方は、ご一報くださいませ
史上最強の人生設計マニュアル(勝間和代)
絶妙な話し方の技術(橋川硬児)
考える技術の教科書(Harvard Business Review)
1063人の収入を60日で41%アップさせた目標達成技術(マイケル・ボルダック)
残り97%の脳の使い方(苫米地英人)
「人たらし」の心理術(内藤誼人)
ブリッジマンの技術(鎌田浩毅)
10人の法則(西田文郎)
悩む力(姜尚中)
君子を目指せ小人になるな(北尾吉孝)
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ウェーバー)
英語リーディングの秘密(薬袋善郎)
東洋経済1/17、「仕事力」勉強法
人間関係(藤原和博)
内緒の本(????)
さらに3冊amazonで注文中ですが、こう見てみると、技術とか心理術・勉強法といったハウツー本がかなりの割合を占めており、あらためて自分の性癖というか、安易な方法論にすがる思考パターンが見えてきて恥ずかしいです。
さてこの中で、特に印象に残った数冊について、シントピック風に感想を述べます。
まずは姜尚中(カン・サン・ジュン)著『悩む力』です。
この方は、早稲田出身で現在は東大の環教授をされている方で、以前何かの政治討論会に出演されているのを拝見したことがありますが(ご専門は、政治学・政治思想史)、そういうものによくありがちな、声高の自己主張の渦巻く中で、冷静で思慮深い発言が非常に印象的でした。
彼はこの本の中で、自我という主題について、「悩む力」にこそ生きる意味への意思が宿っていることを、彼の在日2世という出自から、夏目漱石、マックス・ウェーバーの多数の著作を手がかりとして、哲学しています。
結論として、「私は、自我というものは他者との「相互承認」の産物だと言いたいのです。そして、もっと重要なことは、承認してもらうためには、自分を他者に対して投げ出す必要があることです。」と述べ、「とにかく自我の悩みの底を「まじめ」に掘って、掘って、掘り進んでいけば、その先にある、他者と出会える場所までたどり着けると思うのです。」、「「解は見つからないけれども、自分が行けるところまで行くしかないのだ。」という解が見つかりました。」と述べています。
これと言って青春時代に深く悩んだことのない私にとっては、いまひとつピンとこない深さでしたが、漱石やウェーバーが示す、社会の近代化に伴う個人主義の台頭、「文明が進むほどに、人間が救いがたく孤立していくことを示していたのです。」という点については納得させられました。
確か、高校生の時に文庫本の『こころ』を読んだと思うのですが、何か灰色の印象しか残っていないのは、当時の時代背景がよく理解できていなかったからでしょうか・・・
さてもう一つ私を惹きつけたのは、著者の教養の深さです。
さすが東大の環教授(?)というべきか、文系の方はこれくらい読んでおられるのが当たり前なのでしょうか、本書にも、漱石の多数の著作を始め、ウェーバー、強制収容所体験のあるV.E.フランクル(何かの自己改革本に出ていました)、カール・ポラニー、ルネ・デカルト、カール・ヤスパース、アダム・スミス、ゲーテ、ダンテ、トルストイ、カント、エドモント・フッサール、レヴィ・ストロース、ボオドレール、安部真大、福沢諭吉らの言葉をちりばめながら論を進めています。
著者も述べていますが、これぞ物知りや情報通ではなくて知性、knowではなくてthink、informationではなくてintelligenceというべきでしょう。
鷲田清一さんの『「聴く」ことの力』の中にあった、「〈知識〉(グノーシス、knowledge)ではなく〈知恵〉(ソフィア、wisdom)の粋とされる哲学的な知」や、後述の北尾吉孝さんの本にもある、論語の、「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し。思うて学ばざれば則ち殆し。」を思い出しました。
ただ敢えて一言いわせていただけるなら、高度な情報化社会の中で、自我を自ら問うことなく、「脱色されて乾いた青春」を送る若者達に対し、政治学者として、国はこうすべきだという提言を聞きたい気がしました。
さて次に『ブリッジマンの技術』ですが、著者の鎌田浩毅さんの言うところの「頭の中の思考パターン」=「フレームワーク」(勝間さんの好きな言葉ですね)は、ある意味「自我」と言ってもいいのではないでしょうか。
暗さ明るさの差はありますが、哲学風にいえば、自己と他者とのフレームワークを橋渡しするという点で、『悩む力』の言わんとするところと一致しているように思います。
この方は火山学者で、やはり東大の教授、文系の素養も半端じゃなく、intelligenceを感じさせます。
有名な芭蕉の句「静かさや 岩にしみいる 蝉の声」の解釈が、私とは違っていましたが・・・
さて最後に、私の好きな北尾吉孝さんの『君子を目指せ小人になるな』ですが、この本には、本当の自分をつかむという意味で「自得」という言葉がでていて、かの安岡正篤さんも「人間は自得から出発しなければいけない。」と言われ、一方ソクラテスは「汝自身を知れ」、ゲーテは「人生は自分探しの旅だ」と言っているそうです。
さらにこの本によれば、『老子』には「人を知る者は智なり、自らを知るものは明なり」とあるそうですが、さてさて、今年は一つ、自得の旅に出てみますか・・・
実はもう一冊、自我について考えさせられる500頁の本を、昨日一気読みしてしまったのですが、微妙な本なので、ここでは内緒にしておきます。
P.S. 漱石の「こころ」を、哲学的に引用していた本を以前に読んだのですが、どの本だったか思い出せません。
気になって、気になって・・・
どなたかご存知の方は、ご一報くださいませ