朝の勤行
この薬王寺の宿坊のお目当ては朝の勤行だ。
6時からだと聞いていたので勇んで出かけたのだが、カメラを持って行くのを忘れてしまった。
暗い中、所々に灯された明かりで、この城郭建築のようなお寺がどれほど美しかったことか・・・
またお寺の高いところから見ると、ゆっくりと明けていくなかで、向こうの方の小高い山に日和佐城が望まれ、それとの間の、箱庭のような日和佐の町の静寂さが、どれほど心地良かったことか・・・
寒さは、静けさとあいまって、時として清々しさにつながるのだ
肝心の勤行の方は、男女の宿泊者が十数名参加し、三人のお坊さんがお経を唱えられた(年長でお経は上手だが声が良くないお坊さん、若くて新米ぽいが声は良いお坊さん、その中間のお坊さん)が、このお寺は真言宗なので、お経の中には、例の理趣経もあったのだろうか・・・
ここで素朴な疑問。
なぜお坊さんはにぎやかにお経を唱えるのだろう?
静かに座っているだけでも良さそうだけど・・・
お寺は集団生活だから、テンポを合わせて景気よくやらなあかんのかな???
ともあれ、早朝から厳粛な雰囲気に触れられ、良い経験をさせていただいた。
欲を言えば、座禅でも組みたかったな~
薬王寺から2日で室戸へ!
30分程で終わって宿坊で食事、7:08出発、気温は-1℃だった。
55号線に例の表示、室戸まで81キロ、これを2日で歩き抜くのだ!
走り遍路
例によって車も人も通っていない道を
1時間半程歩き続け、日和佐トンネルを越えてしばらく行った
ところで、坂の向こうから、何と人が走って上ってきた。
白衣を着ておられないが、リュックを背負っていて薄汚れている。
逆打ちの歩き遍路に間違いない。
挨拶をしたら、昨夜は野宿したそうで、4時半から歩いているが、寒いので走り出したとのこと。
SUGGEEE!
「2日で室戸まで行く予定です。」と言うと、ちょと考えた後、「きついけど、あんたなら行けるよ。」と、ありがたいお言葉。
お互いの健闘を祈って分かれた。
その頃の気温
-2℃だがぜんぜん寒くなく、結局タイツを穿かないで正解だった(タイツは内腿が痒くなるので)。
ブレスサーモさまさまである。
そこから40分程で小松大師
橋にはまだ霜が降りている。
その後、牟岐町に入ってきて、有名な警察署内のお接待テントに立ち寄ったが、だれもおられず(大晦日だし、そりゃそうだわな)、リュックを置いて署内のトイレをお借りし、すぐ出発。
大坂トンネルを出たら草鞋大師があった。
申し訳ないような小さなお大師様である。
空腹の鯖大師
やがて内妻トンネルを過ぎ、鯖大師の近くまでやってきた。
そろそろお腹が空いてきたので、地図にあった鯖瀬大福食堂で食べようと期待していたのだが、大晦日で休業。
がっかり~~。
仕方なく、食べ物屋を探しながら、さばせ駅をはさんで反対側の鯖大師まで行くことにした。
ところが、あいにく食べ物屋らしきものは一軒もなく、お寺のベンチでカロリーメイトを食べてしのいだ(お大師様が鯖をねだった気持ちがわかるような気がする。)。
このお寺には宿坊もあると書いてあったので、大きなお寺と門前町を想像していたが、意外と小さく、細長い敷地で参拝する人もなく、ある意味がっかり。
いままでの経験からいうと、ここは○○大師というには大き過ぎるくらいなのだが、○○大師と○○寺というのは、どこがどうちがうのだろうか???
まあ気を取り直して、少し休んだ後、正午頃に再度出発。
雪が降ってきた・・・
cafeふくなが
4キロくらい歩いてあさかわ駅を越え、いったんJRの西(山)側に出て200mくらい行ったところで、右手前方のロッジ風の建物から女の方が飛び出てこられた。
「ちょっと寄ってかんで~。コーヒーお接待しま~す。」とのこと。
いきなりで驚いたが、大きくコーヒーと書かれたのぼりもあり、喫茶店のようだ。
駐車場には、トイレや遍路用の小さな東屋のようなものまである。
ありがたく店内に入らせてもらってびっくり!
何と真昼間から中年の男性がムード歌謡?(聞いたことのない曲ばっかり)のカラオケ中なのだ!
(大晦日でおっちゃん暇なんか~?・・・)
「お遍路さんも歌わんかね。」と聞かれたが、こっちはヘロヘロだし、昼間っからカラオケ唸ってるお遍路というのもサマにならないし、丁重にご辞退した。
ピラフを注文し、おいしいコーヒーをお接待していただいて、ふと店内の雑誌を見ると、NHKの趣味悠々シリーズの「四国八十八ヶ所 はじめてのお遍路」というのがあった。
中を見ていると、ママさんが、「ここのことが載っているんですよ。」とおっしゃる。
どれどれ、どれどれ・・・ほんまやんか!
このお店のことが、1ページ全面で紹介してある(P64)。
お接待が楽しくて仕方がないという優しさが、ひしひしと伝わってきて(あれこれ聞かれたりはしません。)、歩き遍路には絶対オススメのお店です。
さて、ママさんの笑顔で元気回復
あと10キロがんばろ~
かいふ駅を越え、「遊遊NASAふれあいの宿」をこえた所で、静かな海に出た。
対岸にカリフォルニア半島のように(行ったことはないが)細長~くのびた半島が見える。
内海で波は静か。
サーファーには不向きだろうが、対岸までシーカヤックで渡って、半島の探検なんか面白そ~。
別荘でも欲しいな~
道の駅宍喰温泉
そこから歩くこと1時間、やっと今日のお宿、道の駅宍喰温泉に到着。
宿泊施設は古いが、¥6.500で隣のホテルリビエラの大浴場が使え、朝食もホテルのバイキングである。
早く着きすぎたが、海を一望するホテルの大浴場で、ゆっっくりくつろげた(サイコ~)。
問題は明朝の御来光だが、部屋からは無理だが、下のロビーからは絶好調みたい!
歩行距離:33.6キロ 宿泊:道の駅宍喰温泉(☆☆☆☆)
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