嬉し恥ずかし初心者遍路
朝5時前に目を覚ました。
窓を開けると、昨日は暗くて分からなかったが、周りは田んぼに囲まれた田舎の風景。
低くたなびく雲が山にかかって、昨夜までの大阪の風景がうそのようだ。
6時半には朝食を済ませ、7時前におかみさんの見送りを受けて宿を出た。
菅笠・白衣(びゃくえ)姿が気恥ずかしいが、いよいよこれからだと思うと、身が引き締まる。
一番札所の霊山寺への途中、出会ったおばあさんに愛想良く挨拶をしていた。
ほんの数分のわずかな間に、すっかりいい人になってしまっていた自分が、少し怖い・・・
思ったより古い感じのお寺(山門の前のお遍路さんは人形)はまだ閑散としていたが、本堂横の売店で、金剛杖・ロウソク・線香・両親用の朱印用白衣(88ヶ所の札所で白衣に朱印を押してもらい、亡くなった時に着るそうだ。)を買い、本堂と大師堂で、ロウソクと線香を供え、たどたどしくお経を唱えた。
唱えるのは
- 開経偈(1回)
- 般若心経(1巻)
- 御本尊真言(3回)
- 光明真言(3回)
- 弘法大師御宝号(3回)
- 回向文(1回)
となっているそうで、周りに人がいると、これまた結構気恥ずかしく、口の中でもぐもぐと唱えた。
その後駐車場横の納経所で納経帳に記帳・朱印をいただいた。
これで一つクリア!
ほっとした。
スタンプラリー?
2番札所の極楽寺へは、県道沿いを西へ1.4キロ。
すれ違う車に、何故か遍路姿が誇らしい気持ちになる。
周りは完全に田舎の風景。
空はあくまで晴れ渡り、稲もよく育っている。
歩き遍路は数名見かけただけだったが、途中でランニング用のタイツを穿いた女性遍路(?)が追い抜いて行った。
極楽寺に着くと、その女性はお経も唱えずに、風のように足早に立ち去って行ったが、納経帳のスタンプラリーなのだろうか・・・
境内にある、弘法大師お手植えの長命杉。
先がきれてしまってゴメンナサイ。
納経所で「これから先は食べるところがありませんから。」と言われたので、そこで売っていたお弁当を買った。
おにぎりに漬物か何かの至ってシンプルなものだったが、これが典型的な遍路の弁当のようだ。
Aさん
2番を打ち終えて(遍路ではお参りすることを「打つ」と言うそうだ。)、2.6キロ先の3番金泉寺に向かう。
途中、七分丈(?)のズボンを穿いた女性の歩き遍路を追い抜いた(「お先に」とだけ挨拶した。)。
女性が一人ぼっちで暑い中をトボトボと歩いているのは、何故か不思議で、ひどく頼りげなく感じてしまう。
30歳位の彼女(仮にAさんとさせていただく。)とは、その後2日とも、後ろから追い抜くことになった。
へんろみち
さてここまではほとんど舗装道路を歩いてきたが、金泉寺まであと少し、それらしき建物が見えてきたという所で、こんな道しるべがあった。
左の石の道標は、江戸~明治時代に置かれたものだそうで、右の遍路姿の赤いシンボルと矢印は、へんろみち保存協会があちこちに付けてくれている道しるべで、歩き遍路は皆、これを頼りに歩いているのだ。
ところが、この道しるべの指す方向はというと、
田んぼの間の、ただのあぜ道???。
こんな風に、「へんろみち」は昔からの道を辿っているので、立派な舗装道路から、突然無慈悲にも、山や林の中に分け入らされたり、逆に林の中からいきなり民家の軒先に出てきて、びっくりすることがあるのだ。
ともあれ、この後3番を打ち終えた頃、ようやくAさんがやって来た。
一言二言言葉を交わした。
歩き遍路同士は、会えば自然と挨拶するもので、不思議な親しさ・連帯感があるのだ。
Aさんに GOOD LUCK!と祈ろう。
遍路姿の記念写真を撮っていなかった(頼むのが恥ずかしかった)ので、ここの納経所の方にケイタイで撮ってもらった。
ザックが見えないが、7キロ以上あるのを背負って、ちょっとお疲れ気味。
道標、墓標 etc.
4番大日寺へは、舗装道路あり、農道あり、ちょっとした山道ありの、変化に富む5キロの道のりだが、途中2~3人の人しか見かけず、孤独のためか長く感じた。
(歩き遍路の頼みの綱、道しるべのかずかずと、墓標 etc.)
古い道標・墓標を見るとき、私の目には、その前を歩いて行く当時のお遍路さんや、当地で亡くなられた方々の姿が浮かんでくる。
今や彼らも私も、同じ道を辿り、同じ目的地を目指す同士なのだ。
マイルール
歩きながら何を考えているかというと、大して何も考えていない。
私は、仏教も神道もキリスト教も拝む、普通のFuzzyな日本人のつもりだが、遍路中は、札所で唱える金明真言を、
おん あぼぎゃ
べいろしゃのう
まかぼだら
まに はんどま じんばら
はらばりたや
うん
と、リズムをとりながら唱えていることが多かった。
ただ多くの墓標の前を通り過ぎる時には、「御宝号」の
南無大師遍照金剛
を唱えてご冥福をお祈りし、
特にお地蔵様の前では、立ち止まって3回唱えることにした(これが小休止になった)。
このお寺は、周りに何もない山の中のお寺で、昔から寺院経営はどうしてるんだろうと、余計な心配をしてしまう。
迷子に!
ここからは、1本道を南に行けば5番地蔵寺に着くはずだが、徳島自動車道の高架の前あたりで、例のへんろみちを示す赤いへんろマークがあった。
それで脇道にそれて行くうちに、何か変?
どうも方向が違う!
しばらくへんろマークも見かけない。
「歩き遍路は、一歩でも後戻りするのが嫌だ。」と、どこかに書いてあったが、まったくその通り。
根性を決めて歩き続けた。
林を抜け、やっとあるお寺の前に出てきたが、地蔵寺ではないようだ。
だれもいない・・・
声を掛けたがだれも出て来ない(四国ではどこのお宅でも出てきていただけない)。
困った・・・・
暑い・・・・
と、ちょうどその時郵便配達の人が来たので、すがる思いで聞いてみたら、何と地蔵寺は隣のお寺だった。
助かった~。
ありがたい。
思わず、あの郵便配達は弘法大師のお使いだったのではと、心から感謝した。
喉渇いた~!
6番安楽寺までの5.3キロは、長かった。
というのも、道は一本道なのだが県道ではなく、飲み物の自販機がなかなかない。
喉が渇いて渇いて・・・
やっと見つけたお店の前にテーブルと椅子があり、野球のユニフォーム姿の中学生の子供達がいた。
荷物を下ろし、お店でお茶とアイスクリーム2つを買った。
彼らと話しながら、2番の納経所で買ったお弁当を食べた。
続いてアイスを食べようとしたが、彼らの目が注目する。
そこでアイスを彼らの2人にあげ、もう1人を連れてまたお店に入った。
「逆お接待」におかみさんがほほ笑んでいた。
素直ないい子達だった。
これで元気を得て、後は快調!
安楽寺には1時前に着いてしまった。
一面の田んぼの中にポツンとある感じのお寺だが、なかなかきれいなお寺で、大きなお風呂の宿坊があるそうだ。
予定では、今日は次の7番十楽寺までになっているし、このお寺の売店兼喫茶店の前の、ソフトクリームの看板がたまらなく魅力的で、まるで手招きされているように感じたが、なぜかここは「色即是空」と思い直して歩き続けた。
進化する宿坊!
十楽寺までは1.2キロなので、結局1時半には着いてしまった。
宿坊の予約をしていたので、納経所兼宿坊受付でそのむねを告げると、何とカードキーをくれるではないか。
宿坊の中はまるでビジネスホテル。
しかもほとんど新品のツインルームである。
冷房を入れ、荷解きをし、シャワーを浴びて、さっそく洗濯をした。
ところが、ところがである!
疲れはそれほどないが、ザックをおろした時から腰の具合がおかしい。
ギックリ腰の前兆のような感じ。
ザックを下ろして、急にバランスが変わって痛めたのかも知れない。
あわてて腰痛体操をしたが(2年前のお盆休みは、ギックリ腰で1週間入院していた。)、早くも「リタイア」の文字が頭をかすめた。
坊主百まで・・・
夕食と朝食は下の食堂で食べた。
夫婦連れや、途中で仲良くなったような遍路達が全部で10人くらいだろうか、私はだれとも話さなかった。
さっさと食べて部屋に戻った。
なーんか気合が抜けないのだ。
考えてみると、朝出発してからこのお寺に着くまで、昼食の時以外は一度もザックを下ろさなかった。
その昼食もなぜかあたふたと済ましてしまった。
なぜだろう・・・
自分の中に何かがいる。
よく考えると、今日の歩きは、まるで1990年の佐渡島トライアスロンのレース中の気分に似ている。
灼熱の太陽とアスファルトの照り返しが、スタートとゴールというレーススタイルが、無意識に気分を17年前に戻したのかも知れない。
途中決して早く行こうなどと、考えもしなかった。
でもなぜか、頭の中でスタートの号砲を聞くと、前へ前へ、休まず前へ、となってしまうのだ。
本当に困った性分だ。
歩行距離:17.5キロ 宿泊:7番十楽寺宿坊(☆☆☆☆)
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投稿情報: HeenseJex | 2012年1 月11日 (水) 18:05
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投稿情報: Meseagems | 2012年2 月 9日 (木) 17:54